お知らせ

10.192023

豚飯(トゥンファン)・菜飯(セーファン)・鶏飯(チーファン)・・・10月19日は琉球料理の日

豚飯・菜飯・鶏飯ともに宴席の終わりに出される具添えたご飯においしいかけ汁をかけて食べるものです。豚肉を使うと豚飯、野菜を使うと菜飯、鶏肉を使うと鶏飯となります。本来、それぞれ白飯の上に味をつけた具をのせ、かけ汁を注ぐものだったようですが、いつの頃からか、豚飯だけが炊き込みご飯の形式になってきています。不思議に思っていたのですが、田島清郷著『琉球料理』には、豚肉、椎茸を1㎝の千切りにして味をつけ、ご飯の上にのせ、かけ汁をかけると出ており、もとはこうだったのだと納得しました。

豚飯についての記述を古波蔵保好著(琉球料理美榮の創業者・古波蔵登美氏の兄)『沖縄料理物語』より転載します。

 

宴席には豚飯、菜飯が出る。豚飯はといだ米に、一度茹でてから細かく切った豚肉、かまぼこ、人参、椎茸などを合わせて釜に入れかつお節のダシ汁で炊いたもの。これを軽く黒塗りの椀に盛り、蓋をしておく。

その椀を宴席の片隅にたくさん用意して、まず一碗ずつ客に配り、蓋を取って汁を注ぐ仕組みだ。

一杯を食べ終わった客に、用意しておいた椀を差し上げ、汁を注ぐといったことで熱いのを何杯も食べてもらう。(中略)

私の妹は、炊きあげられる混ぜご飯とかけ汁の味つけが実に上手だった。混ぜご飯だけで食べると、薄味でありすぎ、汁だけを飲むと塩味がききすぎる。双方が椀の中で一体となるにおよび、さわやかなおいしさにまとまるということに、彼女の工夫があった。(以上)

 

一方、菜飯は写真のように彩の良いもので、豚飯よりは手のかかるものです。また、鶏飯は菜飯の具の一部に鶏肉を割いてのせてものです。奄美大島の郷土料理として根付いています。以前、奄美大島で鶏飯を食べたときは、団体旅行だったので、ビュッフェ形式で、大皿に具が彩りよく並べられ(具は各自でご飯の上にのる)、熱いかけ汁が用意されていました。

豚飯、菜飯、鶏飯いずれも黒塗りの椀を用いられ、かけ汁はユチヂ(湯桶)から注がれました。なお、鶏飯は、チーファン、ケイファンともいわれています。

文責 安次富順子

左からトゥンファン、セーファン、湯桶

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