12.162020
ミヌダルのお話・・・12/17(木)は「琉球料理の日」
琉球料理の日に寄せて
ミヌダル
ミヌダルはうす切りの豚背ロース(ボージシ・Aロース)に黒ごまだれをまぶして蒸した料理で、真っ黒く出来上がることから、黒肉(クルジシ)とも言われています。蒸すことで脂分が抜け落ち、見た目から受けるイメージとは違い、あっさりとした品の良い料理です。
昔は結婚式、大きな生年祝い、お正月や、東道盆などでのもてなしには必ず作られた料理です。蒸し返しがきき、味が変わらないので、多めに作ってもストックがきき、もてなしなどには重宝する料理です。
作り方はいろいろな方法があります。
豚背ロースは周りの脂を切り落とし、水気を十分ふき取ること、1枚1枚広げて蒸すこと、火加減は強すぎないことなどは共通しています。
黒ごまのすり方は、少しざらつく位から油がねっとり出るまでと幅があります。
- 砂糖、醤油、みりんなどの調味液に、豚肉を漬け(30分~3時間)味を染み込ませ、蒸す前にすった黒ごまをまぶして蒸します(ゴマの香りが強く出ます)
- すった黒ごまに砂糖、醤油、みりんを入れてごまだれを作り、豚肉を漬けて味を染み込ませてから蒸します(豚肉にごまの香りが入ります。漬け込み時間30分~1日)
どの方法、漬け込み時間でもおいしいミヌダルができますが、作り手の好みになるのだろうと思います。
昔の作り方には、ごまだれに、「イカの墨」が使われており、コクが出ておいしいとあります。「イカの墨」が身近な食材であったのかもしれません。また、ごまが今のように精製されておらず、ごみなどが混ざっていてそのごみを取り除く作業が大変だったとの記述もあります。
ミヌダルの語源は諸説あるようですが、定かではありません。
豚肉料理といえば、ラフテーや味噌煮豚のように柔らかく煮込んだもの、汁物、いろいろな料理の具などに使われることがほとんどですが、ミヌダルはかなり特殊な使い方だと思います。
参照:『思い出の沖縄』新崎盛珍著
『松山御殿の日々』知名茂子著
『おばあさんが伝える味』沖縄タイムス社
文責 安次富順子
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