9.152022
越来(ゴイク)イリチー・・・9月15日(木)は琉球料理の日
越来(ゴイク)イリチー
牛蒡と鶏肉のイリチーです。グンボーイリチーとも言いますが、かつて、越来イリチーは、特別のものでした。
この料理は、「越来御イリチー」と呼ばれ、王国時代には越来村からの国王への献上品の一つでした。越来、美里南村は地質がよいので、牛蒡と柑橘類に適し、特に牛蒡は香りがよくイリチーを作って献上したといわれています。(『琉球料理』田島清郷)
作り方は、豚3枚肉の皮を焼き、2㎝角切り、鶏肉は3枚肉より少し小さく切る。蒸し器に3枚肉で鶏肉を挟むように置き軟らかくなるまで蒸す。ごぼうは3㎝の斜め切りにして、水につけてあく抜きをする。後はイリチーの要領でごぼう、鶏肉を炒め白味噌で味をつける。(『琉球料理』田島清郷・『思出の沖縄』新崎盛珍)
昔の鶏肉は、とても硬いものでした。牛蒡がいかにおいしくても、鶏肉が固くておいしくなければ、国王への献上はできません。そこで、いかに軟らかく美味しくするかを考え、豚肉の脂を浸み込ませ、この様に手の込んだ料理が生まれたのだと思います。
今は、ブロイラーで軟らかくので、そのまま使います。
先日、牛蒡も鶏肉も1㎝弱のものを越来イリチーといっていただきました。いかにもお惣菜的で、越来イリチーには程遠いものでした。越来イリチーは風格を持った料理名なので、グンボーイリチーと使い分ける必要があると思いました。
文責 安次富順子
お詫びと訂正
2020年7月16日の 琉球料理の日のメッセージ「おくら」の中のムチンについて 株式会社はなもみ代表取締役社長 池田剛士様より間違いであると、ありがたいご指摘を受けました。随分以前に知り得た知識のまま、確認をせず書いてしましましたことお詫びいたします。
ムチンとは、
英語ではムチン(Mucin)は動物粘液を指し、植物粘液はムチレージ(Mucilage)[6]と呼ぶ。
日本では山芋やオクラ、モロヘイヤ、ツルムラサキなどの「ねばねば成分」(植物粘液)もムチンと称されてきたが、2019年、ムチンの研究者である丑田公規はこれについて「誤った用法」とし、
1928(昭和3)年以降,山芋だけでなく,植物全般にムチンは存在しないと学術的に結論付けられているのが現状である.
と生物工学会誌で指摘[7]。
2020年、日本食品科学工学会は『食品工業辞典』(日本食品工業学会編、昭和54年第1版発行)のムチンの解説を
動物より分泌される粘質物一般をいう。
に訂正するとの「お知らせ」を公式サイトに掲示した
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