5.182023
豆腐・・・5月18日は琉球料理の日
沖縄は豆腐の島と言われるほど、豆腐をよく食べてきました。沖縄の島豆腐は、生絞り法(豆乳が生)で作られ、水さらしをしないで、あちこーこーで販売されるので、旨味とコクがあるおいしいが特徴です。
このあちこーこーの島豆腐には、存続に危機がありました。1度目の危機は、1972年の日本復帰に伴い、「豆腐は、冷蔵するか、又は十分に洗浄し、かつ、殺菌した水槽内において、冷水(食品製造用水に限る。)で絶えず換水をしながら保存しなければならない。」という食品衛生法の適用を受けることになり、あちこーこーでの販売ができなくなる危機を迎えました。しかし、規制を受けた豆腐業界の人々や地元出身の国会議員の方々が、当時水不足で断水が続き、水さらしが困難なことや、食文化としてのあちこーこーの豆腐を守るため粘り強く交渉を続けた結果、「ただし、移動販売に係る豆腐、成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐及び無菌充填豆腐にあっては、この限りでない。」と伝統製法の豆腐に限ってその継続が許可され、本土復帰から2年ほど後の1974年に特例が認められました。
2度目の危機は、2021年6月1日に温かい状態で島豆腐を販売する小規模事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務付けられました。それは、「加熱工程での温度と時間の管理と、製品の高温保管(製品温度55℃以上に維持し、55℃未満になってから3時間以内に喫食または速やかに冷却後冷蔵保管すること)」となっています。この規制により、豆腐製造業者の方には大変な負担が課され、また私たち消費者も以前のように、あちこーこーの島豆腐が手に入りにくくなっています。先日、国会で、沖縄出身の国会議員が、あちこーこーの島豆腐の取り扱いの緩和を訴えた結果厚労省が衛生基準を定めた小規模事業者向けの「手引書」の改定を認める方針を示したので基準緩和が期待されます。
あちこーこーの島豆腐を製造する業者の方も大変な努力をされています。沖縄の大切なあちこーこーの島豆腐を味わい、その味を大切に守りたいものです。守るためには消費者も努力しなければならないと思います。
給水制限記録年度 | 総日数 | 給水制限方法 | 各日数 | 降水量 (給水制限時) |
昭和47年度 | 35 | 夜間6時間断水 夜間10時間断水 |
15 20 |
2,320 |
昭和48年度 | 126 | 夜間8時間断水 夜間10時間断水 24時間隔日給水 |
31 15 80 |
1,775 |
戦前、戦後間もないころは、豆腐は家庭で作るのが主流でした。庶民のたんぱく源は豆腐と言っても過言ではないほどです。豆腐石臼で豆を挽き作っていましたが、昭和になると豆腐屋が出現したようです。
戦前の那覇の市場には、ウシジャー豆腐という直径35㎝厚さ7~8㎝の座布団のような豆腐もありました。また、島豆腐は、5丁入りの豆腐が箱から出され、そのまま店頭に並んでいて、その場で切り分けていました。そのような豆腐を見て、柳田国男は『海南小記』に「野武士の如き剛健なる豆腐である。華麗繊細なる都の絹ごしどもをして面をふせ気萎えるえしむべき豆腐である」と表現しています。
核家族が増え、島豆腐も1丁の大きさでの販売はほとんどなく、半丁単位が主流になっています。
文責 安次富 順子
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