7.142021
血いりちー・・・7/15は琉球料理の日
血イリチー(血イリチャー)
豚の血を使った血イリチーは、グロテスクな感はありますが、独特な香りとコクのある味わいがある料理です。かつては年の暮れになると正月用の豚を殺す行事(ウヮークルシー)があり、保存のきかない血はすぐに血イリチーにして神仏に供えました。また、生年祝いや法事用の料理としても用いられました。
血イリチーの調理法は、まず固まっている豚の血を、手でほぐすかミキサーでほぐします。ボウルに豚の血と切干大根、味噌を入れてよくかき混ぜ、油で炒めます。血の赤色から黒っぽくなったら、具として豚三枚肉、きくらげ、かまぼこなどを入れさらに炒めて、味をみて、塩で調え仕上げます。
新島料理学院勤務していた頃、琉球料理科の実習に血イリチーを取り上げていたことがあるのですが、デモンストレーションで 豚の血をミキサーで攪拌したところ、真っ赤になった血の色を見て、貧血を起こして倒れた人がいました。血イリチーは美味しい料理なので、作る過程を見たり、聞いたりせずに食べると、レバーの感覚で食べることが出来ると思います。
沖縄の食の思想に「以類補類」(病んでる部位を同じ部位で補う)というのがあります。貧血などには血を、膝の痛みには脚を食べるという考え方です。血には、ンパク質、鉄、銅、亜鉛など造血に必要なミネラルを多く含んでいるので、貧血改善、貧血予防に適しています。
この血イリチーに使われる豚の血が、HACCPの関係(採血用のナイフを一頭ごとに取り替えることや、温度管理などなど)で、入手が困難になっています。数年前、新聞に【沖縄の郷土食「チーイリチャー(血の炒め煮)姿消す 食肉センター、血の出荷停止」】という記事が出て血イリチーの存続が危ぶまれました。現在豚の血は、那覇では特別に研究用など以外には手に入らずらず、北部、宮古、八重山地区では、細々と入手できるようです。
HACCPは健康を守るためにはとても大切な要件ですが、それに従って今までのやり方を修正しなければならい業界・業者の方たちも大変なことだと思います。島豆腐もそうですが、豚の血も沖縄の大切な食文化なので、消さない努力をしてほしいと思います。
文責 安次富 順子
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