1.202021
ムーチーのお話・・・1/21(木)は琉球料理の日
鬼餅(ムーチー)
1月20日は旧暦12月8日、鬼ムーチーの日です。単にムーチーとも呼ばれています。鬼餅(ムーチー)は餅粉を水で練ったものをサンニン(月桃)や葵蒲(くば)の葉に包んで蒸す香り高い餅で、葉(カーサ)に包むことからカーサムーチーとも呼ばれます。
ムーチーといえば現在はサンニンが主流ですが、1721年の『中山伝信録』には葵蒲の葉に包んで蒸して配る風習があると出ています。その昔は、神の宿る神聖な木である葵蒲の木の葉が主流であったのかもしれません。またムーチーが旧暦12月8日とされたのは1735年からという記録もあります。いずれにしても、長い歴史のある風習と言えます。
ムーチーには鬼退治の有名な伝説があります。
首里の金城町に住む人食い鬼になった兄を、妹が鉄を包んだムーチーを餅と偽って食べさせて、崖から突き落として退治したというものです。首里金城町の「内金(うちかな)城獄(ぐすくうたき)」の西側にムーチー伝説の由来を伝える小獄があります。
ムーチーの頃は、ムーチービーサ(ムーチー寒)といわれる寒さが到来しますが今年はそれほどの寒さは来ないようです。寒い中カーサ(葉)を洗い、餅を包んで蒸すと家中にサンニンの香りが漂い、家中が浄められます。さらにムーチーを蒸した汁を勝手口に撒いたり、食べ終わった葉をサンに結んで厄除けにする習慣もあります。
一昔前までは、各家庭ではムーチーを作り仏壇や火の神に供え健康祈願と厄払いをし,子供は年の数だけ食べるということで紐で吊るしていました。また、男の子の誕生した家では葵蒲の葉に包んだ大きなムーチー(力(ちから)ムーチー)を作ったり、赤ちゃんの生まれた家では「初(はち)ムーチー」といって、親戚や知り合いに配る風習があります。最近は核家族が多く出来合いのもので済ます傾向が強く、スーパーなどでたくさん売られています。ムーチーも多種にわたり、甘みをつけたり、唐黍(トーナチン)やさつま芋,紅芋などを混ぜて作ることもあります。
コロナウィルス感染が収まらない今、ムーチーの持つ厄除けを信じて、コロナウィルスを追い払いたいものです。
- ムーチーとは広い意味で「餅」のことです。「餅」という名で呼ばれているものには、粒状のもち米を蒸して杵で搗いた搗き餅(つきもち)と、穀物(うるち米、もち米、アワ、キビなど)の粉に水を加えて練り、蒸しあげた練り餅(ねりもち)の二種類に大別されます。沖縄県を除く日本で「餅」といえば一般にもち米からなる搗き餅を指し、練り餅は「団子」という別の区分とされることがあります。
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