6.162022
テンピヌメーまんじゅう・・・6/16(木)は琉球料理の日
テンピヌメーまんじゅう(天妃の前饅頭)
戦前、那覇の天妃宮(今の天妃小学校付近)の前で売られていたことから、この名がついたといわれています。天妃宮は、中国伝来の航海を守護する神を祀った建物です。
テンピヌメーまんじゅうは、ユーヌク(はったい粉=大麦を煎って粉にしたもの=麦焦がし・香煎)に砂糖または黒砂糖を加えて、丁寧に練り上げた餡を小さく丸め、非常に薄い小麦粉の皮で包み、平ぺったくしてサンニンの葉の上で蒸します。薄い皮を通して黒っぽい餡が透けて見えて冷めても皮が固くならないのが特徴です。栄養があり、ユーヌクの香ばしさとサンニンの葉の香りが楽しめます。硬くなったら、蒸したり、焼いたり、揚げたりするとまた、美味しく食べることが出来ます。100年以上も前から作られている那覇の伝統的な饅頭です。祝い用、法事用にも用いられていました。また、郷愁を誘う味として、県外や離島にお住まいの方たちにも人気があったそうです。現在は、サンニンの葉の上で蒸しますが、戦前はウーンガーサ(糸芭蕉の葉)を敷いて蒸していたようです。
『沖縄料理物語』(古波蔵保好著)に下記のような記述があります。
「小麦粉による薄皮の中に餡を閉じ込めてあるのだが、形は円く、ひらぺったく――つまり二つに折ってたためるほどにひらぺったい饅頭の薄皮を通して暗褐色の餡が透けて見え (中略) ついつい食欲をそそられてしまう那覇にしかない菓子だった。」
また、戦前の天妃小学校の卒業生から、当時の子供たちは「テンピヌメーまんじゅう 馬に蹴られて平たった~」とはやし立てながら食べたと聞きました。
100年以上前から食べられているというテンピヌメーまんじゅうは、戦前まではこのように皮の薄いものでした。
色々なものは時代と共に形を変えることがあります。近年は白い衣に覆われたテンピヌメー饅頭が「ペーチン屋」から売り出されています。那覇で唯一のテンピヌメー饅頭で、人気を博しています。
↑ペーチン屋の天妃の前饅頭 ↑昔の天妃の前饅頭
文責 安次富順子
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