1.192023
ターンムとムジ・・・1月19日は琉球料理の日
ターンム(田芋)とムジ(ずいき)
沖縄特産のターンムは、水のきれいな水田で栽培される里芋の一種で、水芋とも呼ばれています。うす紫色で独特の香りと味、粘りが特徴です。現在、水の豊富な宜野湾市の大山と金武町の水田で栽培されています。かつては各地に栽培地がありましたが、現在は住宅地になっている那覇市真嘉比川原(マカンジャーラ)のターンムが有名でした。
親芋の周りに子芋、孫芋がつくことから、子孫繁栄を意味し、縁起の良い食材として、正月、盆、祝い事、行事食などには欠かせない食材ですが、法事には広がるという意味合いもあり、ターンムは使われません。
植え付けから収穫まで約1年かかり、季節を問わず植え付けられるので年中手に入りますが、需要の多い盆や正月用に逆算してたくさん植え付けられます。ターンムは、生では出荷されず、ゆでるか蒸していますが、いいターンムは皮にひび割れが入るので、求めるときの目安になります。料理としては、ターンムディンガク、ドゥルワカシー、ターンムのから揚げ、トゥンジー(冬至)ジューシーなどに使われます。
ターンムはムジ(ずいき)も食します。ムジはアクが強く触れるとかゆくなることがあるので、注意が必要です。筋を取って水にさ らし、ゆでて使います。ムジの汁(ムジ、豚肉、豆腐の味噌汁)や和え物などに使われます。ムジの汁は、出産祝いに用いられ、近隣に大判振る舞いをした時代があります。独特の触感と香りがおいしく、またこの季節には体が温まると喜ばれます。
ムジに似たものに高知県特産の「琉球=ハスイモ」があります。ハスイモは、地下に芋を作らず、ずいきを食用とするものです。シャキシャキとした食感が特徴です。ハスイモもターンムもサトイモ科の植物で、サトイモ科の植物の総称が「タロイモ」です。日本では輸入のサトイモを「タロイモ」と呼んでいます。
那覇市史によると、昔の首里の正月の記述に、仏壇に黄、赤、白の紙を重ねて置き、その上にクガニクニブ(九年母)またはみかん、炭と昆布、ターンムを供えてとあり、ターンムは正月にはなくてはならないものだったことが伺えます。
また金城須美子先生の論文にはターンムは,袋中上人の『琉球 往 来』(1603)には王府への貢物の中に田芋がみられ、甘藷導入以前の15世紀半ばには栽培されていたと思われると記されてます。
過去の記事
-
10.192023
豚飯(トゥンファン)・菜飯(セーファン)・鶏飯(チーファン)・・・10月19日は琉球料理の日
豚飯・菜飯・鶏飯ともに宴席の終わりに出される具添えたご飯においしいかけ汁をかけて食べるものです。
-
9.212023
ジーガステラ・アガラサー・・・9月21日は琉球料理の日
黒砂糖の香りのする素朴な味わいがあり、年齢問わず好まれているこのお菓子、皆さんはなんと呼び...
-
8.172023
沖縄の茶の湯と僧侶喜安・・・8月17日は琉球料理の日
1534年に日本の茶道の作法と思われものが存在していたと思われます。