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5.192021

ブクブクー茶は那覇の庶民文化・・・5/20(木)は琉球料理の日

ブクブクー茶は戦前の旧那覇市の那覇四町(東町、西町、泉崎、若狭)のみで飲まれた豊かな泡を飲む、沖縄独特のお茶で、夏の飲み物とされています。
戦争で道具類が消失したこともあり、戦後50年近く途絶えていましたが、唯一残されていた道具をもとに研究を重ねた結果、1992年に復元しました。

ブクブクー茶は大きな木鉢(ブクブクーザラ)で立てた泡を、それぞれの茶碗に分けて盛りつけます。同じ器で点てた同じ泡を飲むため、親近感が生まれ、和やかで癒しのお茶と言われます。お茶碗にサンピン茶とほんの少しの赤飯を入れ、泡がこんもり盛り付けます。さらに煎った落花生をトッピングします。

この泡は何で出来ているのでしょう? お米をこげ茶色になるまで煎って(現在は焼く)、琉球石灰岩を伝ってとれるミネラル分の多い硬度の高い水で20分くらい煮出した液をこします。これを煎り米湯といいます。煎り米湯にサンピン茶を混ぜて直径25cmほどの大きな木鉢(ブクブクー皿)に入れ、長さ25cmの大きな茶せんで10分くらい泡立てると、クリーミーで、しっかりした泡が出来ます。煎り米湯が粘りを出し、さんぴん茶が泡を膨らませます。

ブクブクー茶はお箸やスプーンは使わずに茶碗を両手で持ち泡の上の方から泡を噛むように吸う様ように飲み始めます。一気に飲もうとするとお茶がこぼれる恐れがあります。泡には味はなく、お茶の香がします。チンスコウなどの菓子を食べてから飲むと泡に甘みを感じます。

元々、ブクブクー茶は、茶の点て方、茶室、茶道具などの決まりによって行われる茶道(茶を点てる様式)とは違い、お点前はなく、一種の台所仕事に近いもので、台所などで点てて客間に運んでいました。長い船旅の安全を祈って点てる嘉例吉カリーな物ナムンでした。東町の市場では売り歩かれており、庶民の中に育まれたお茶です。

ブクブクー茶の起源は定かではありません。ブクブクー茶が琉球王朝で飲まれていたという説がありますが、その根拠は、冊封使・徐葆光の見聞録(『中山伝信録』)に基づいています。その見聞録には蓋つきの茶碗が描かれていて、今のような豊かな泡は表現されていません。この記述をブクブクーだというにはかなりの無理があり、またその他の資料もないため、琉球王朝にブクブクー茶があったとは言えないと思っています。さらに点てる際に茶湯が飛び散るため豪華な紅型衣装をまとった人が点てていたとは考えらえません。今ブクブクー茶と言っているものは、昔のブクブクー茶を知っている人たちのお墨付きをもらった、豊かな泡を飲むお茶で、明治、大正、昭和初期の人が、旅立ちの祝いや市場などで飲んでいたものと同じもので、庶民の飲み物ということになります。

私は、1992年沖縄伝統ブクブクー茶保存会を作り、それ以来、毎月第3土曜日に「ブクブクー茶無料体験教室」を久茂地公民館や牧志駅前ほしぞら公民館で28年続けていましたが、現在は、コロナな影響で、残念ながら、活動を中止しています。
文責 安次富順子

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